地震予知とは [地形・地質]
防災推進国民大会 [地形・地質]
8月28日、第1回防災推進国民大会ワークショップに行ってきた。動機は、火山噴火や首都圏地震に関する専門家の講演を直に聴けるという不純(?)なものであったが、防災意識は高まったのでお許し頂けるだろう。
日本の国土は世界の0.25%であるのに、そこに活火山は7%(108/1,548) もあるという。かつ、火山と地震は関係する。
(図は何れも国土技術研究センターHPより) www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary13/
9月1日の防災の日を前にした今日も、大型台風10号が接近しつつある。日本は災害大国である。今回の「防災推進国民大会」は第1回であるが、主催者の一つは防災学術連携体であり、日本火山学会、日本地震学会など52の学会が参加している。国、地方行政、学会等が連携しなければならないが、これが「言うは易く・・」なのだろう。とにもかくにも、こうして「学術連携体」が動き出したことは歓迎すべき出来事だ。
地球のプレートと大地震 [地形・地質]
2016.4.3放送のNHKスペシャル「巨大災害 地震列島日本 見えてきた新たなリスク」から
地球は十数枚のプレートに覆われていると言われてきたが、京都大学・西村卓也准教授によれば、日本列島は上のようなブロックに分かれているという。そして、ブロックの境界では大地震が発生する可能性があると。私は中央構造線とフォッサマグナ等に関心を持っていたがそれどころではない。
このように表現されるとインパクトが強い。
ハーバード大学のブレンダン・ミード教授も同様の見解を示している(グレーの線はブロックの境界;P.202-209, Seismological Research Letters Vol.86, No.1 Jan/Feb 2015から)。こうした知見は世界各地に設置されたGPSによる変位観測網によるもので、これまでのプレートの説明は乏しいデータを根拠とするものだったと。
熊本地震はこの放送4月3日直後とも言える、4月14-16日に起こった。上図は3日の同番組によるもので、ブロック境界と過去の地震の震源の分布を表している。右上に「次はどこ」の文字が見える。
ミード教授によれば、プレートは細分化されており、サンフランシスコの大地震もブロック境界上で起こった。2008年の四川大地震も境界上である(上図×印)。今まで活断層の上は危ないと言われてきたが、ブロック境界との関係はどうなっているのだろうか?
現在言われている世界のプレート:日本原子力研究開発機構サイトより
熊本地震と中央構造線(2) [地形・地質]
4月に熊本地震と中央構造線の関係がどうなんだろうかと記したが、5月13日付で産総研・地質調査総合センターから見解が発表されていた。
http://www.gsj.jp/hazards/earthquake/kumamoto2016/kumamoto20160513-2.html
上図は上記サイトより
「九州には中央構造線はない」というものである。中央構造線とは、西南日本で地質が大きく異なる境の断層線 のことである。断層は「面」であり、その面が地表に現れると「断層線」となる、「線」は日本列島の長い活動の痕跡、「古傷」である。中央構造線活断層系とは厳然と区別しなければならない。専門家でも混同が見られるとのこと。
上空から「線」として見えるかどうか、断層の出来方によるのだろう。 。
地震後の調査で活断層もいろいろ分かってきたようだ。
京浜東北線の崖 [地形・地質]
非対称な神田川 [地形・地質]
等々力渓谷 [地形・地質]
5月とはいえ、アスファルトの上は汗ばむほどであったが、渓谷に入ると嘘のように涼しい。極楽である。
今回は地層観察に行った。
貝塚爽平「東京の自然史」より。
ここは都内では珍しく 地層が観察できる。
不動の滝。もはや滝とは言えないほどか細いがU字型の樋から水が流れ出ている。水が湧きだしているのは水を透しにくい下の東京粘土層とその上の礫層との間ということである。 しかし上の層は黒っぽくてよく見えない。
ここ、少し上流では、礫層が見える。(こんな礫が雨あられと降ってきたことがあったのだ。おそろしい!)その上が関東ローム層だろう。模式図では武蔵野ローム層の上に立川ローム層が堆積しているが、そこまでは見ても分からない。両者が区別されたのはそれらの間に火山灰堆積の休止期ないし堆積速度の小さい時期があったのと、武蔵野ローム層には割れ目が多いことによるという。
上は等々力でなく、関東ローム層が見える意外な場所、曙橋の下(南西)である。上記「東京の自然史」によれば、近所の新宿角筈で、上から表土・埋没土が0.5m、立川ローム層が約3m、武蔵野ローム層が約2.5mである。 写真で見えている範囲が約3mなので、表土の下は立川ローム層ということになるが、途中で色が変わっている。私には解釈不能。ここは靖国通り・かつての紅葉川の河岸なので盛土はしていないと思うのだが・・
それはそうと、不動の滝、か細いのが気になる。ここは修行場 であったというのだが打たれるほどの水量はなかった。ここ矢沢川は国分寺崖線の南端になり、水脈の一部にあたるのに心配である。都内の湧水は枯れてしまったものがまことに多い。
ともあれ、東京23区内にこうした別天地があること、それを保護、維持してくれている方々に感謝したい。
下仁田ジオパークにて [地形・地質]
2016年1月、下仁田ジオパークに行く。この山々が元はこの地に無く、スライドしてきて、浸食されてこうなったのだと聞き、びっくり。跡倉クリッペ(Klippe;独語・岩礁)というそうだ。大地のエネルギーの巨大さ、悠久の地球の歴史の中で我々が暮らす時間の何と短いことか、を改めて思う。
神縄(かんなわ)断層 [地形・地質]
ここは、フィリピン海プレートに乗った伊豆半島(元は小さな島々だった)が本州に衝突した現場だという。2015年6月に訪れた。 izugeopark.org/izugeomain/
↑ ここがその「衝突現場」。右が伊豆半島側、左が本州側 。
伊豆半島の成り立ち(伊豆半島ジオパーク izugeopark.org/izugeomain/ より) 伊豆半島が火山だらけなのも、うなづける。丹沢は東京から近いのでよく登ったが、この衝突のお蔭でできたのだという。
(2017.8.16追記)しかし、 フィリピン海プレートは北西への移動をそれ以前から続けていた。100万年ほど前の伊豆半島の衝突と同様に、丹沢山地は500万年前に、さらに富士山の北にある御坂山地は900万年前頃に本州に衝突して日本列島に付加し、その一部になっていったと考えられている(山崎晴雄、久保純子「日本列島100万年史」より)。・・奥が深いのだ。
付加体 [地形・地質]
2015年1月三浦半島を探訪する。海岸の岩の押し寄せたような傾きから、プレートに押し上げられて、しわしわになった地形なのかと想像する。それにしても「付加体」とは学術用語だから仕方がないが、無粋な言葉だ。
geocitys.jpより 半島全体がしわしわなのだ。断層帯がいくつか見える。
産業技術総合研究所HPより
でも、海洋プレートが大陸の下に潜り込むときに取り残された堆積物が付加体なら、日本列島はかつて大陸の端っこだったのだから、全部が付加体かもしれない?
上野の科学博物館にはプレートの潜り込み部や火山周辺で調査された岩石サンプルも示されている。